2025年度も中小企業向けの補助金制度は継続予定!ものづくり補助金や事業再構築補助金などの大型補助金はどうなる?最新動向を解説
令和6年度補正予算案の概要が11月29日に公開され、国の主要な補助金制度が2025年度も継続する予定であることが判明しました。(正式確定は臨時国会にて補正予算が成立する12月下旬の想定)
本記事では、現時点(2024年12月6日)でわかっている来年度の主要な補助金制度をご紹介します。
目次
▼生産性革命推進事業【補正予算3400億円】
2025年度は、成長志向の中小企業による飛躍的成長や中小企業・小規模事業者の生産性向上を実現するための「生産性革命推進事業」が継続される予定です。本事業の目的は以下の通りです。
【事業目的】
(出所)経済産業省「令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)」
中小企業は、物価高や賃上げ・最低賃金引上げ、人手不足、制度対応等の事業環境変化に対応し、それらの”稼ぐ力”を強化する必要がある。こうした”稼ぐ力”を伸ばすためには、成長志向の中小企業による飛躍的成長や中小企業・小規模事業者の生産性向上を促すことが重要であり、それらの成長投資や革新的な製品・サービスの開発、販路開拓、海外展開、M&A、人材育成等をハード・ソフトの両面で支援する。
本事業では、令和6年度補正予算額3,400億円を割り当てられる予定で、主に1.ものづくり補助金、2.IT導入補助金、3.持続化補助金、4.事業承継・M&A補助金、5.成長加速化補助金が実施されます。このうち「成長加速化補助金」はこれまでになかった新しい補助金制度となります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」といい、中小企業等が行う、革新的な製品・サービスの開発に必要な設備投資等を支援することを目的とした補助金制度です。2024年に続き2025年も継続される予定です。
来年度の制度内容について、現時点では以下が判明しています。
補助対象 | ・省力化のためのシステム構築及び設備投資を支援 |
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補助金額 | ・従業員規模に応じて上限最大8,000万円 |
補助率 | ・補助率1/2 等 ・最低賃金近傍の従業員を抱える事業者 (※) については、補助率を 2/3 に引上げ ※3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上いる場合 |
支援事例 | 高精度の素材加工設備導入、ドローン導入、受注管理アプリ開発、ビッグデータ(POSデータ)分析サービス開発 等 |
IT導入補助金
IT導入補助金は、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といい、中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツー ルの導入を支援することを目的とした補助金制度です。2024年に続き2025年も継続される予定です。
来年度のIT導入補助金内容については、現時点でわかっている内容は以下記事にまとまっていますのでご参照ください。
小規模事業者持続化補助金
持続化補助金は、正式名称を「小規模事業者持続的発展支援事業」といい、小規模事業者等が自ら経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組を支援することを目的とした補助金制度です。2024年に続き2025年も継続される予定です。
持続化補助金は、2024年10月4日(金)の経済対策政策に係る総理大臣指示(令和6年能登半島地震への災害支援指示)を踏まえた、6次公募を計画していることが既にホームページで発表されています。
これにより、次回6次公募は令和6年9月20日からの大雨による被害も補助対象になることが予定されています。
事業承継・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、正式名称を「事業承継・M&A支援事業」といい、事業承継・M&Aに際し、設備投資等や、M&A・PMIの専門家活用費用等を支援することを目的とした補助金制度です。2024年までは「事業承継・引継ぎ補助金」という名称でしたが、名称を変え2025年も継続される予定です。
2025年の制度内容は現時点では未発表です。
中小企業成長加速化補助金(仮称)
中小企業成長加速化補助金(仮称)は、2025年から新しく実施予定のこれまではなかった補助金制度です。
経済産業省のPR資料では、以下の事業概要が記載されており、売上高100億円超の中小企業を恒常的に創出することを目的に、設備投資(ハード・ソフトの両面)支援や中小機構による多様な経営課題(M&A・海外展開・人材育成等)への支援等が行われる予定であることがわかります。
売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の潜在的な投資を最大限引き出すため、大胆な設備投資を支援する。また、新事業・新分野進出、M&A等の中小企業が抱える高度な課題を解決するための官民一体での支援体制の構築や海外展開支援、人材育成・人材確保への支援、これらの支援に必要な基盤整備等を実施する
(出所)経済産業省「令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)」
なお、中小企業成長加速化補助金(仮称)には、生産性革命推進事業の補正予算3400億円の内1000億円程度が割り当てられる予定です。
新事業進出補助金(仮称)【既存基金の活用 1500億円規模】
新事業進出補助金(仮称)は、2024年までの「事業再構築補助金」の後継となる制度です。予算は、既存基金(中小企業省力化投資補助事業)のうち1,500億円程度が割り当てられるようです。
本事業の目的と概要は、以下の通りです。事業再構築補助金とあまり変わっておりません。
【事業⽬的】
⼈⼿不⾜や賃上げといった昨今の経済社会の変化の中で、中⼩企業等が成⻑する過程においては、既存事業の拡⼤に加え、新たな事業の柱となる新事業への挑戦が重要。既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・⾼付加価値事業への進出を後押しすることで、中⼩企業等が企業規模の拡⼤・付加価値向上を通じた⽣産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを⽬的とする。【事業概要】
(出所)経済産業省「令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)」
企業の成⻑・拡⼤を通した⽣産性向上や賃上げを促すために、中⼩企業等が⾏う、既存事業とは異なる、新市場・⾼付加価値事業への新規参⼊にかかる設備投資等を⽀援。
大規模成長投資補助金【補正予算1400億円、国庫債務負担行為を含め総額3000億円規模】
大規模成長投資補助金は、2024年に創設された中堅・中小企業の大規模投資を支援する補助金です。補助額は最大50億円と非常に大きくなっています。
本事業の目的と概要は、以下の通りです。
【事業⽬的】
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資等を促進することで、地方においても持続的な賃上げを実現する。【事業概要】
(出所)経済産業省「令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)」
中堅・中小企業の持続的な賃上げや事業成長等を目的として以下の取り組みを行う。
①大規模成長投資補助金
人手不足に対応するための省力化等による労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行う。
②地域企業経営人材確保支援事業給付金
着実な事業成長等を実行可能な経営体制を整備するため、転籍・兼業・副業・出向等により大企業から経営人材を受け入れた場合に、給付金を給付する。
中小企業省力化投資補助金【既存基金の活用 3000億円規模】
中小企業省力化投資補助金は、正式名称を「中小企業省力化投資補助事業」といい、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援することを目的とした補助金制度です。2024年に続き2025年も継続される予定です。
本事業の目的と概要は、以下の通りです。2024年は、「カタログ注文型」のみでしたが、2025年からは新たに「一般型」が追加される予定です。
【事業⽬的】
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援する。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とする。【事業概要】
(出所)中小企業庁「令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連 中小企業省力化投資補助事業」
(1)カタログ注文型
清掃ロボット、自動券売機、スチームコンベクションオーブン、無人搬送車等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する。
(2)一般型
業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等の多様な省力化投資を促進する。
まとめ
今回は、2025年に実施予定の主要な補助金制度について最新情報についてお届けしました。
大型補助金は、ものづくり補助金は継続、事業再構築補助金も新事業進出補助金に名称を変えて継続と、基本的には継続される予定です。補正予算額も各事業数千億円規模と大きな金額が積まれる見込みですので、これを機に企業成長に向けた投資を実施を検討してみてはいかがでしょうか。
実際に公募が始まった場合は、今回のような制度概要を頭に入れた上で直近の公募要領を読み込むことが重要です。
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