中小企業省力化投資補助金(省力化補助金)の全体像・スキーム、カテゴリ・製品登録状況を解説
※本記事内容は、公募要領等の公開資料に基づき作成しておりますが、申請の際はご自身でポータルサイトをご確認ください。
みなさんこんにちは。
中小企業省力化投資補助金は、2023年度の補正予算で新設された補助金で非常に注目されています。
本日はプレイヤーが複数登場する本補助金の全体像と、現時点での登録カテゴリ・製品を紹介します。本記事でざっと内容を把握した後、詳細は公募要領を確認しながら申請を進めるとスムーズです。
目次
中小企業省力化投資補助金(省力化補助金)の全体像・スキーム
省力化補助金には、工業会・製造業者・販売事業者・中小企業の4つのプレイヤーが存在します。
似たスキームで、ITツールの補助を行うIT導入補助金では、IT導入支援事業者・中小企業の2つでしたので、よりややこしいと感じる事業者の方もいるのではないでしょうか。
実際に公式ホームページを見ても、各プレイヤーの役割やフローの説明はあるものの、全体としてどのようなスキームになっているかを解説した文章は見当たりませんでした。(2024年6月3日現在)
各プレイヤーの本補助金にかかわるフローを時系列につなげると下記のようになります。
つまり、それぞれの役割を簡単に説明すると下記の通りです。
- 工業会:製品カテゴリの登録
- 製造業者:製造カテゴリへの製品の登録
- 販売事業者(製造業者が兼任も可):登録製品の販売
- 中小企業:登録製品の購入・申請主体
製品カテゴリ一覧
2024年6月3日現在登録済みの製品カテゴリは、以下の通りです。
# | 機器カテゴリ | 対象業種 | 対象業務プロセス |
---|---|---|---|
A | 清掃ロボット | 宿泊業、飲食サービス業、 製造業、卸売業、小売業 | 清掃業務 |
B | 配膳ロボット | 飲食サービス業、宿泊業、製造業、卸売業 | 配膳業務、搬送業務 |
C | 自動倉庫 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 保管・在庫管理、入出庫 |
D | 検品・仕分システム | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、 保管・在庫管理、入出庫 |
E | 無人搬送車(AGV・AMR) | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、 保管・在庫管理、入出庫 |
F | スチームコンベクションオーブン | 飲食サービス業、宿泊業、小売業 | 調理 |
G | 券売機 | 飲食サービス業 | 注文受付、 請求・支払、顧客対応 |
H | 自動チェックイン機 | 宿泊業 | 受付案内、予約管理、 請求・支払、顧客対応 |
I | 自動精算機 | 飲食サービス業、小売業 | 注文受付、 請求・支払、顧客対応 |
J | タブレット型給油許可システム | 小売業 | 給油 |
K | オートラベラー | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 加工・生産、梱包・加工、 保管・在庫管理 |
L | 飲料補充ロボット | 小売業 | 飲料補充業務 |
各カテゴリの解説・登録製品
省力化補助金ホームページからカタログから製品一覧を確認することができます。
2024年6月3日時点での登録カテゴリ詳細と登録製品を確認してみましょう。
A 清掃ロボット
概要
自律走行で床を清掃(湿式、乾式等)するロボットです。各種センサにより、人や障害物を回避しながら清掃可能で、飲食店やホテルなどの清掃業務を清掃ロボットが代替することにより、清掃業務の省力化が期待できます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品は、下記の1つのみでした。
・Whiz i アイリスエディション(アイリスオーヤマ株式会社)
B 配膳ロボット
概要
各種センサにより人や障害物を回避しながら自律走行により料理や飲み物等(導入する業種によっては、物資・部品や梱包物等)を人に代わって配膳するロボットです。飲食店やホテルの配膳業務を代替でき、効率化が期待できます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品は、下記の2点でした。
・BUDDY(SOCIAL ROBOTICS株式会社)
・カチャカプロ + カチャカシェルフ3段(プロ用) セット(株式会社 Preferred Robotics)
C 自動倉庫
概要
自動倉庫は、パレットやケース、コンテナを自動的に入出庫・保管できる製品です。保管する棚、出し入れする機械、前後の荷受け・荷渡し装置で構成され、コントロール、管理するシステムも含みます。
製造業、倉庫業、卸売業、小売業などで、入出庫や在庫管理を無人化・省人化でき、空間効率の向上や、ミスの減少、作業スピード上昇などで生産性の向上が期待できます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
D 検品・仕分システム
概要
検品と仕分が一体で完成するシステムにより、目視で確認し仕分ける工程を無くし、仕分や検品にかかる自動化を実現する製品です。製造業の工場や、倉庫業、卸売業、小売業の倉庫などで、目視等の人手による製品の検品や仕分業務を行っていた事業者での効率化が期待できます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
E 無人搬送車(AGV・AMR)
概要
自動で走行する車両または台車で、もの(パレット、ケース、台車など)を移載やけん引できる機能を有し、自動で搬送が行える製品です。製造業の工場や、倉庫業、卸売業、小売業の倉庫などで、人手によるフォークリフトや手押し台車等での搬送作業を代替でき、効率化に寄与します。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品は、下記の1つのみでした。
・協働運搬ロボット サウザースタンダードベーシック(5年保証)(株式会社Doog)
F スチームコンベクションオーブン
概要
焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるなどの調理過程を全て担うことのできる調理器具です。例えばローストビーフは、熟練の料理人が約2時間の間付きっ切りとなる必要がありますが、当該製品はボタンを押せば後は待つだけで完了します。
主に飲食店や宿泊施設などでフライパンでの調理等、加熱調理(焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるなど)を人手で行っていた事業者の作業を自動化・省人化でき、生産性向上が期待できます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品は、16件でした。
※ただし、16件ともタニコー株式会社の製品
・ベ-シックスチームコンベクションオーブン(2/3ホテルパン:5段)他(タニコー株式会社)
G 券売機
概要
注文受付、券類の発行、支払・決済業務を自動的に行う製品です。
主に飲食店などに導入することで、従業員による事前オーダーの手間を省くことができ、生産性UPにつながります。
現時点の登録製品
2024年6月4日時点での登録済製品は6件です。
※ただし、メーカーはグローリー株式会社の1社のみ
・券売機(グローリー株式会社)他
H 自動チェックイン
概要
チェックイン機能、精算・会計機能を有し、顧客が自動でチェックインを行えるようになる製品で、チェックアウト機能、カードキー発行機能を有し、これらを自動化できる製品も販売されています。
従業員が対面でチェックイン・アウト業務、請求・支払い業務、カードキー発行業務等を行っている旅館・ホテル等の宿泊業の事業者の効率化に寄与します。客室が数十部屋以上など多くなると、より大きな効果を期待できます。。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
I 自動精算機
概要
主に商品販売時及びサービス提供時における支払・精算対応又はつり銭等現金の受け渡しを自動的に行う製品です。
対面による精算業務を行っていた飲食サービス業、小売業等の事業者の業務効率化を期待できます。
また、・手動による現金の取り扱いが減るため、ヒューマンエラーによる過不足金の計算がなくなるといった副次的効果も生まれます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
J タブレット型給油許可システム
概要
セルフSSにおいて、タブレット型給油許可システムを用いて、事務所内に限らずSS敷地内であればどこでも来店客への給油を許可することが可能となるシステムです。
主に給油許可専用のスタッフを事務所内に常駐させていたセルフSSの事業者の省人化につながります。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
K オートラベラー
概要
製品、製品パッケージ、またはパッケージ資材に粘着ラベル(シ―ル)を自動的に貼り付ける装置です。製品(製品パッケージ、パッケージ資材を含む)へのラベル貼付け作業を効率化することができます。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
L 飲料補充ロボット
概要
小売店舗のバッグヤードにおける商品棚への飲料補充業務を行うロボットです。様々なサイズの飲料陳列を自動で行うことができ、効率化はもちろん、限られた人材を接客等の他業務に集中させることできるといったメリットもあります。
現時点の登録製品
2024年6月4日の登録済製品はありませんでした。
まとめ
製造業者・メーカーはまだまだ登録余地あり!
見てきた通り、現時点では各カテゴリに登録している製品やメーカーはまだまだ少ない状況です。製造業者・メーカーの方は今後省力化投資補助金に自社製品を登録することで、販路拡大につながる可能性があります。
ただし、登録できる製品はすでに工業会によってカテゴリ登録されている必要がありますので、製品登録前に必ず確認しておきましょう。
販売事業者は事業者登録の準備を
販売事業者は事業者登録を行うことで、製造業者・メーカーが登録している製品を自社顧客に補助金を活用する形で提案することができます。省力化補助金を活用することで、最大経費の1/2(1,500万円まで)が補助される可能性があります。
事業者登録のスケジュールは2024年6月4日時点では未定ですが、自分の売りたい製品が登録された時に備えて、公募要領の読み込みや情報収集をはじめておきましょう。
最後に
いかがだったでしょうか。今回は、2024年の新補助金である中小企業省力化投資補助金(省力化補助金)の全体スキームやカテゴリ登録・製品登録状況をご紹介しました。しっかりとポイントをおさえて採択を勝ち取りましょう!
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