事業再構築補助金で必要な収益計画とは?書き方のポイントを解説!
みなさんこんにちは。
事業再構築補助金は中小企業がコロナ禍を乗り切るために事業転換や業態転換を行う際、強力な後押しとなる補助金です。
その分申請のハードルは高く、実現性や収益性、各種要件を満たしていることを説明するために事業計画書を作成する必要があります。
中でも、収益計画は作成が必須となっている項目であり、事業の収益性を説明する上でも大変重要です。
そこで今回は、事業再構築補助金の申請における収益計画の書き方についてお伝えしたいと思います。
目次
事業再構築補助金の申請における収益計画とは
事業再構築補助金では、直近の年度、補助事業終了する年度(基準年度)、3年~5年後までの会社全体の売上高や営業利益、人件費、減価償却費などの入力が必要となります。
事業再構築補助金の公式ホームページでは電子申請時に必要な収益計画の項目として下記のようなフォーマットを公開しています。
事業開始3~5年後までの売上・費用・利益の計画
事業再構築補助金では、事業開始から3~5年後までの収益計画が必要です。
上述した通り、補助事業の終了年度を基準とするため、少しだけ注意が必要です。
例えば、補助事業の終了年度が2023年3月末時点の場合、3年後までの計画であれば、2026年3月末時点まで作成します。
直近の決算年度の数字は基本的に会社の財務諸表と合わせてください。
事業再構築補助金においては付加価値額の算出が必須
事業再構築補助金における収益計画では、補助事業を実施することで、補助事業終了後3~5年で会社全体の付加価値額が年率平均3.0%以上増加の達成を見込む数値計画となっている必要があります。(通常枠の場合。従業員一人当たり付加価値額でも可。)
そのため、必ず付加価値額(及び従業員一人当たり付加価値額)を計算するようにしましょう。
事業再構築補助金における付加価値額の計算方法は以下のとおりです。
付加価値額(事業再構築補助金の場合)=営業利益 + 人件費 + 減価償却費
他補助金の計算方法とは異なる点に注意しましょう。
会社全体の収益計画だけでなく、新事業単体での作成も必要
最終的に求められている収益計画は、会社全体のものです。
ただし、算出根拠を示す意味では、新事業単体での収益計画を作成し、事業計画書に掲載することをおすすめします。
そもそも、「会社全体での収益計画 = 既存事業での収益計画 + 新事業での収益計画」 であるため、新事業単体での収益計画は中間成果物として出来上がっている必要があります。
作成上、満たすべき要件
収益計画作成にあたり、特に重要な要件は下記のとおりです。(2021年度第5回公募分時点)
詳しくは次項以降で紹介します。
- 会社全体での付加価値額の増加
- 補助事業の売上高/付加価値額の構成比
ちなみに第6回以降の要件については別記事で紹介していますので参考にご覧ください。↓
会社全体での付加価値額の増加要件
事業再構築補助金では、補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの収益計画を策定する必要があります。
新たに行う事業が付加価値を生まないものでなければ補助対象として相応しくないとみなされてしまうため、必ず達成しているかどうか確認しましょう。
【“年率平均”3%増加とは何なのか】
ちなみに年率平均の増加は下記のように算出できます。
N年後の付加価値額の伸び率 = (N年後の付加価値額 - 基準年度の付加価値額) ÷ 基準年度の付加価値額
オンラインでの申請時には自動計算してくれますが、収益計画作成時には自分で計算して3%以上(グローバル枠の際には5%以上)を達成しているかを確認するようにしましょう。
エクセルで計算するときには、以下のような表を作るイメージです。
(※下表は付加価値額の算出に必要な売上高・費用は省略しています)
前年比やCAGR(年平均成長率)ではないので注意しましょう。
上記の表では3年~5年後の年率平均の伸びが3%以上となっているため、要件を満たしています。
補助事業の売上高/付加価値額の構成比の要件
応募する事業類型ごとに、売上高や付加価値額の要件が定められています。
【新分野展開】
(新たな製品等の属する事業(=新事業)の売上高が3~5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上または付加価値額の15%以上となること
ただし、売上高が10億円以上の事業者であって、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、当該事業部門の売上高の10%以上でも要件を満たすことが可能
※第5回公募分から付加価値額の要件が新たに加わっています。古い情報を掲載しているブログやホームページもありますので注意してください。
【事業転換・業種転換】
新事業の売上高が3~5年間の事業計画期間終了後、売上構成比の最も高い事業となること
具体的な作成方法
電子申請のタイミングでは、直近の年度、補助事業終了する年度(基準年度)、3年~5年後までの会社全体の売上高や営業利益、人件費、減価償却費などの入力をオンライン上で行いますが、加えて事業計画書にその算出根拠を示す必要があります。
公募要領記載の、”収益計画(表)における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載してください。”の記載が該当箇所です。
つまり、売上高や費用を「えいや」で決めてしまうと、どんなに事業内容自体が良くても落とされる危険性が高まります。
特に売上高については審査の観点からも根拠の記載が非常に重要です。
いきなりワードの表に打ち込まず、まずは表計算ソフト(エクセルやGoogle スプレッドシート)で作成しよう
事業計画書はワードで書く人が多く、収益計画の表もそこに掲載します。
しかし、収益計画については、いきなりワードに書き込んでしまうと、後から計画の修正等があった時に数値をいちいち書き換える必要があり、非常に面倒です。
まずは、必ずエクセル等の表計算ソフトを使って元となる数値を作っていきましょう。
とはいっても「収益計画なんて作ったことがないから分からない!」という方も多いと思います。
ですので、今回は収益計画の作成のステップを公開します。大まかには、以下のとおりです。
- 収益合計シートの作成
- 経費詳細シートの作成
- 収益詳細シートの作成
収益合計シートの作成【会社全体】
収益計画シートは集計シートになりますので、売上詳細シート・費用詳細シートそれぞれを作成・入力後、合計額を確認するツールとなります。
また、事業計画書に添付する収益計画の表もこちらのシートで作成します。
【収益計画シートの構成】
1,新規事業の収益計画・・・別途売上詳細シート、費用詳細シートから数値を引っ張ってきます
2,既存事業の収益計画・・・基本的には、直近の財務諸表や計画から数値を引っ張ってきます
3,会社全体の収益計画・・・上記1,2を合計します。
【作成イメージ※数値はダミーです】
経費詳細シートの作成【新事業のみ】
新事業の経費詳細シートを作成していきます。
補助事業実施期間と3年後までの補助事業経費とその他販管費の年間費用(予定でも可)を入力しましょう。
こちらで入力した費用を月額費用として収益計画シートに反映させます。
【作成イメージ※数値はダミーです】
収益計画詳細シートの作成【新事業のみ】
費用詳細:
先ほど作成した経費詳細シートの年間費用を12で割る等して、月額費用に変換し、詳細シートへ反映させます。
売上詳細:
売上詳細シートを作成していきます。
サービス・製品別、月別などに分けて作成していきます。事業に合わせた区分で作っていきましょう。
売上高に関しては、顧客数×顧客当たり販売数×商品単価 等、要素分解すると、計画が立てやすく、営業活動のKPIも設定しやすいです。
【作成イメージ※数値はダミーです】
その他Tips
- 減価償却費については、既存事業だけでなく、新規事業で新たに設備やシステム等を導入することでも増加します。
付加価値額にも関係しますので忘れずに算入しましょう。 - 既存事業の収益計画としては、直近決算年度の数値を横ばいもしくは減少させる計画とすると自然です。
事業再構築の性質上、そもそも既存事業が増収・増益の見込みであれば、補助事業を行う目的と矛盾しかねません。
既存事業だけでは先行きが立たないため、新規事業に取り組むというストーリーを意識しましょう。
もし現状、既存事業の収益が右肩上がりの計画となっている場合は、そちらを見直すことも検討しましょう。
まとめ
本日のまとめ
- 事業再構築補助金では、事業計画書作成において、収益計画の作成が必須
- オンライン上で直近の年度、補助事業終了する年度(基準年度)、3年~5年後までの会社全体の売上高や営業利益、人件費、減価償却費などの入力が必要
- 収益計画作成上、確認すべき要件としては、①付加価値額の伸び率、②新事業の売上高/付加価値額の全体に占める割合
- 収益計画作成上、ワードで直打ちする前に、表計算ソフトで収益合計、収益詳細、経費詳細について作成するのがベター
いかがだったでしょうか。今回は、事業再構築補助金の収益計画の作り方のポイントについて解説しました。
公募にあたっては今回の内容を頭に入れた上で直近の公募要領を読み込むことが重要です。
事業再構築補助金はその名のとおり事業拡大・再構築の大きなチャンスですので、ぜひともチャレンジを検討してみてくださいね!
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